当店の前を走る市道には十分な幅員が確保されており、隣町である城崎まで通り抜けることができると思いきや、この道の先は行き止まりです。
実は、この道は旧久美浜町が城崎までつながる道を造るために整備した市道です。しかし、計画は途中で頓挫したため、道は山頂で行き止まりとなっています。また、頂上付近には山内と呼ばれる集落がありましたが、集団離村となりこの山自体にほとんど人が入らなくなりました。道路開発のため切り拓かれた法面は防草処置がしてるのか、全然茂らないですし、きれいに伸びていた木々は電線の保安のため不自然に切り落とされている。ここは人が手を加えた後、放置されたことによって不自然な印象を受ける山となっていたのです。
私たちがここを手にして3年が経ちました。その間、山を散策したり、木々を間伐したり、落ち葉を掻いてみたりと何かをしているうちに自然と建物が山が調和している感じが出てきました。人が入ることで荒れた場所は、人が入ることで落ち着きを取り戻すようです。
そんなんこんなで放置された山に行き来することで山には新鮮な空気が入り、緑が輝き出しました。
昨年には焙煎機も届き、いよいよ焙煎が始まりました。毎週、珈琲のいい匂いが山に漂うようになりました。煎り上げた珈琲はここでカッピングをします。
デッキでフォールディングチェアを広げて、山や海を見ながらゆっくりと珈琲を味わいます。目を閉じると木々のこすれる音や鹿や鳥がなく声が聞こえます。人工的な音を含まないこの音は、素直に耳に届きます。私たちはそんな時に気持ちの豊かさを感じます。

珈琲を皆様の生活に届けることは、暮らしのなかで珈琲を飲むという豊かさの提供させていただくことなのだと思っています。
また、町中の多くの人が豊かな時間を持つことで町全体が豊かになってほしいと思っています。
当店では、毎日飲んでもいつ飲んでもおいしい珈琲を煎り上げます。スペシャルティコーヒー(トレーサビリティが明確で風味特性により評価された珈琲)にこだわらず、格付けがプレミアムコーヒー以下であっても店主がおいしいと思った豆は販売しています。

営業日は毎週、土曜か日曜日の午前中(9:00~12:00)のみ。具体的な日にちについては、当店SNSをご覧ください。(instagram:sankosha_kyoto)
山荘で飲む珈琲は格別です。試飲という形でしか提供できませんが、自然を感じながらゆっくりしてください。